仕事・人間関係での失敗談

ADHDの私が仕事を早く終わらせるために「すべきこと」と「してはいけないこと」

私は30代ADHD(注意欠如・多動症)と診断されました。

ADHDと聞くと「子どもの発達障害」と思われがちですが、大人になっても症状が続くケースは少なくありません。

特に社会に出てからは、期限を守る、集中して作業する、同時に複数のことを管理するなど、

社会人として大切なことができず、その原因が自分のやる気だと思い込んできました。

しかしながらこうした診断を受けて、私自身が発達障害であるということを自覚することで

仕事を終わらせるうえで「すべきこと」と「してはいけないこと」があることに気づきました。

今回は、そんな私が試行錯誤の中で見つけた「仕事を早く終わらせるためにすべきこと」と「やってはいけないこと」について、お話したいと思います。

 

ADHDが仕事を遅らせる理由について考察してみた

ADHD(注意欠如・多動症)を持つ人が、仕事に取りかかれなかったり、予定通りに終わらせられなかったりする理由は、単に「やる気がない」わけではありません。

私自身も、「サボっているように見えるかもしれないけれど、心の中ではすごく焦っている」という状態に何度もなってきました。

では、なぜ私たちは「やらなきゃ」と思っているのに、うまく動けないのでしょうか。

大きく分けて、以下の3つの特性に起因することが多いです。

  1. 注意が散漫になりやすい

  2. 優先順位がうまくつけられない

  3. 衝動的に別のことを始めてしまう

まず、ADHDの脳は、注意を「持続」するのが非常に苦手です。

何かに集中して取り組もうと思っても、ほんの数秒後には他の刺激に反応してしまうことがあります。

例えば、資料を作成しようとパソコンを開いたのに、ふとスマホが目に入り「ちょっとだけ」とSNSを開いてしまう。

通知の音が鳴った瞬間に気がそれる。あるいは、同僚の雑談が気になって内容が耳に入ってこなくなる。

これは意思の弱さではなく、脳が刺激に過敏に反応してしまう構造的な問題なのです。

しかも、困ったことに「一度途切れた集中」は、なかなか戻りません。

戻そうとすると、「なんで自分は集中できないんだ」

「また時間を無駄にしてしまった」と自己嫌悪に陥り、さらに手が止まるという悪循環に陥ってしまいます。

次にタスクが複数あるとき、「どれからやるべきか」がすぐに判断できないのも、ADHDの人によくある特徴です。

普通の人なら、「締切が近い」「重要度が高い」などの軸で自然に優先順位をつけて動けますが、ADHDの脳はそれを瞬時に整理するのが難しいのです。

全てのタスクが同じように目の前に広がって見えて、「どれから手をつければいいのか分からない」という状態になってしまいます。

私の場合は、メールをチェックしていたつもりが、気づいたら突然過去の資料のフォルダ整理を始めていた、なんてこともあります。

これは「今やらなくていいことなのに、やりやすそうなものに飛びついてしまう」という衝動の表れです。

先送りではなく、“今、何が大事かが判断できない”ことが、仕事の遅れにつながっているのです。

 

そしてADHDの人は、ふと浮かんだアイデアや感情に衝動的に従ってしまう傾向があります。

いわゆる「今やらないと気が済まない」「思いついたことは今すぐやりたい」という感覚です。

たとえば、「今日中に見積書を仕上げなければ」と思っていても、突然「オフィスのファイル管理がごちゃごちゃしているのが気になる」となり、気づいたら2時間かけて棚を整理していた…という具合です。

これも一見サボっているように見えますが、本人としては「今これをやることが大事だと思っている」のです。

特に学生時代のテスト前はこれは日常茶飯事でした。

勉強しなければいけないのに、デスク回りの整理整頓を始めてしまう、部屋の中の掃除をしてしまうなどよくありました。

計画を保留にして、突発的な行動に走る衝動を制御するのが難しいという脳の特性があるわけです。

私が仕事を早く終わらせるためにすべきだったこと

ADHDの私にとって、頭の中で仕事を整理しようとするのは、パズルのピースがぐちゃぐちゃに散らばったまま完成図も見えない状態で作業を始めるようなものです。

考えれば考えるほど混乱して、気づけば「考えることに疲れて」何も手がつけられなくなる。

これを解決するために効果的だったのが、「タスクを頭の外に出す」、つまり見える化=書き出すことでした。

なぜ「見える化」がADHDに効果的なのかというと、ADHDの脳は、ワーキングメモリ(作業記憶)が弱いと言われています。

これは「一時的に情報を保っておく力」が少ないということ。普通の人なら頭の中で3〜5個のタスクを管理できても、ADHDの脳では1〜2個で精一杯。

その結果、たったひとつのタスクに取り組んでいる間に、他のことを忘れてしまったり、目先の刺激に流されたりします。

だからこそ、**タスクは「脳内で覚えておく」のではなく、「外に出して管理する」**ことが必要不可欠なのです。

 

私がしてはいけなかったこと

私がADHDと診断される前、いつもこう思っていました。

  • もっと集中しないと
  • やる気がないだけなんじゃないか
  • みんな普通にできてるのに、自分はダメだ

だからこそ、「自分はただ甘えているだけなんだ」「もっと気合を入れれば、何とかなるはずだ」と、

自分を鼓舞して無理にでも動こうとしていました。

でも、それだけでは結局何も解決しませんでした。

 

できない自分を責めるほど、余計にできなくなるのです。

以前のブログでも書いたように、ADHDの脳は、集中力やタスクの切り替え、衝動のコントロールが苦手なのです。

これは性格ではなく神経伝達物質の働きによる生理的な特性であり、「がんばり」でなんとかなる種類の問題ではありません。

 

にもかかわらず、自分を「できないやつ」と責め続けると、自己肯定感はみるみるうちに下がります。

朝からうまく動けない → 自分にイライラ

焦って無理やりタスクに手をつける → でも集中できない

「またダメだった」 → 自分を責める → 次の日さらにやる気を失う

こうして、やる気が出ない→頑張ろうとする→できない→自分を責めるという負のスパイラルが生まれ、どんどんエネルギーが削られていきました。

そのため、まずは自分の特性を知って、その対処法を知ることから始めるべきなのです。

 

もしあなたが、「自分は怠けている」「もっと頑張らなきゃ」と日々自分を責めているのだとしたら、

それはたぶん、努力が足りないのではなく、努力の方向が合っていないだけです。

ADHDは「戦略と環境」で変わります。

だからどうか、無理に自分を普通に近づけようとするのではなく、自分の脳に合った働き方の工夫を見つけていってください。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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