あなたは自分のものをどこにしまったかわからなくなったり
スマホをどこに置いたかわからないという経験をしたことはありませんか?
私は昨夜、スマホをどこにおいて寝たかわからず、朝アラームが鳴ることもなく
寝坊をしてしまいました。
こうした経験をした方は意外と多いのではないでしょうか?
ADHDの特性としてよく知られているもののひとつに、
物の置き場所をすぐに忘れてしまうという困りごとがあります。
これは単なるうっかりとは少し違っていて、自分ではちゃんと置いたつもりでも、
ほんの数分後にはどこに置いたのかまったく思い出せなくなってしまうのです。
私自身、この特性にずっと悩まされてきました。
- 出かけようとしたときに鍵が見つからない。
- レジで財布を出そうと思ったらカバンの中にない。
- 家の中でもスマホや眼鏡をあちこちに置きっぱなしにしてしまい、朝から探し回ってぐったりしてしまう。
こんなことが日常的に起こっています。
一番困るのは、探している時間がどんどん積み重なってしまうことです。
本来なら次の行動に移れているはずの時間が、なくし物を探すことに費やされてしまい、そのたびに焦りやイライラ、そして自己嫌悪が押し寄せてきます。
なんで私はいつもこうなんだろう。ちゃんとした大人になれないんだろうか。そんな思いに何度もさいなまれてきました。
このブログでは、そんな私がどのような場面で物の置き忘れに困っていたのか、
なぜそれが起こるのか、そして少しでも改善するためにどんな工夫をしてきたのかを、
実体験をもとにお伝えしていきます。
同じような悩みを抱えている方の参考になればうれしいですし、
自分のような人間がここにいるということが、少しでも安心につながればと思います。
なぜADHDの人は物の置き場所を忘れてしまうのか?|記憶と注意の特性から考える
ADHDの人がどこに置いたか分からなくなるという経験を繰り返すのには、実は明確な理由があります。
それは、注意の切り替えの速さと記憶の定着のしにくさという、ADHDに特有の脳の働きが関係しています。
まず、ADHDの人は一つのことに意識をとどめておくのが苦手です。
たとえば、部屋に帰ってきて鍵を玄関の棚に置いたとしましょう。
その瞬間、手元のスマホに通知が来たり、別のことが気になって意識がそちらに移ってしまうと、鍵を棚に置いたという記憶がきちんと脳に保存される前に、意識が次の対象へと切り替わってしまいます。
結果として、置いたという行動は実際にしているのに、その記憶だけが抜け落ちてしまうのです。
このような短期記憶の抜け落ちやすさは、ADHDの人が物をなくしたと感じる大きな要因です。
ただし、実際にはなくしているのではなく、記憶できていないだけなのです。
そのため、後から思い出そうとしてもヒントがなく、再現することが難しいという特徴があります。
また、ADHDの脳は興味のあることには強く集中できますが、日常の些細な行動
例えば鍵を置く、財布を机に置くといった一瞬の行動には注意が向きにくく、記憶に残すほどのインパクトを感じないまま流れていってしまう傾向もあります。
要するに、自分の行動を見ていない状態で動いてしまっているという感覚です。
トイレに行ったり着替えている最中にスマホを別のところにおいて
「あれ?スマホどこに置いたっけ?」
と思った経験はありませんか?
さらに、頭の中が常にフル回転していて、次々と新しい情報が入ってくるため、
直前の出来事が後ろに押し出されてしまうこともあります。
これはワーキングメモリと呼ばれる短期的な記憶の保持力が弱いためで、ADHDの多くの人に見られる特徴です。
こうした注意や記憶の特性を知ることで、自分を責めすぎずにすみますし、対策も立てやすくなります。
まずは、自分の脳のクセを知ること。それが忘れ物対策の第一歩です。
ADHD特性に合わせた具体的な対策
こうした置き場所を忘れるという対処法については、
ADHDの特性を理解したうえで覚えようとするのではなく、仕組みで管理することが大切です。
まず一つ目の対策は、スマホの定位置を決めることです。
たとえば帰宅したら玄関近くのトレーに必ず置く、リビングでは決まった棚の上にしか置かないなど、
置き場所を固定するだけでも見失う頻度は大きく減ります。
重要なのは、どこに置こうかなと毎回考えないようにすること。
無意識でも手が動くように、体にルールを染み込ませていきます。
次におすすめなのが、視覚的な仕掛けです。
たとえばスマホの置き場所に目立つラベルを貼ったり、小物トレーの色を変えて見つけやすくしたりすると、
視覚的な手がかりになって注意が向きやすくなります。
ADHDの人は目に見える情報に反応しやすいため、あえて目立たせることが効果的です。
三つ目の工夫は、スマートウォッチや音声アシスタントの活用です。
Apple WatchやAlexa、Googleアシスタントなどを使えば、スマホどこ?と聞くだけで音を鳴らして場所を特定できます。
これにより、探す手間とイライラを大幅に減らすことができます。
また、外出先で置き忘れるのを防ぐにはスマホと一緒に持ち歩く物を限定するという方法も有効です。
たとえば財布や鍵とスマホを一緒に入れたカバンにまとめておけば、どれか一つを持ち忘れたときにも気づきやすくなります。
大切なのは、自分が覚えておくべきだと考えすぎないことです。
ADHDの脳は、日常の細かいことを記憶し続けるのが苦手です。
その特性を前提に、忘れることは前提、だから仕組みで補うという考え方に切り替えることが、ストレスを減らす鍵になります。
スマホを探すたびに落ち込んでいた日々も、こうした工夫を重ねることで少しずつ変わっていきます。
大切なのは、自分に合った仕組みを少しずつ作り、安心して生活できる土台を整えることです。
ぜひ試してみてくださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。