ADHDの特性としてよく知られているのが、
「人の話を最後まで集中して聞くことが難しい」という点です。
これは一見、小さな困りごとのように思えるかもしれません。
しかし、日常生活の中では人間関係に大きな影響を及ぼすこともある、深刻な課題でもあります。
私自身もまさにその傾向があり、日常生活の中でさまざまな場面で困った経験があります。
相手が話している途中なのに、自分の頭の中では次の話題が浮かび始め、つい自分の話をかぶせてしまうことがよくあります。
そのときは悪気があるわけでも、相手を否定したいわけでもなく、単純に思いついたことをすぐに伝えたくなってしまうのです。
しかしこの行動は、相手にとっては「話を聞いてくれていない」「自分のことばかり話す人」と受け取られやすく、人間関係にすれ違いが生まれます。
実際、私も信頼を失ってしまったことがあります。
そのたびに落ち込み、後悔し、自分を責めることも少なくありませんでした。
- なぜADHDの人が話を最後まで聞くのが難しいのか
- どうすれば少しでもその行動を減らせるのか
といったことを、実際の工夫や試行錯誤も交えてお伝えしていきたいと思います。
私と同じように悩んでいる方がいたら、「自分だけじゃない」と少しでも安心してもらえたら嬉しいです。
そして、今よりちょっとだけ人との関わりが楽になるきっかけになればと思っています。
話の途中で自分の話を始めてしまうのはなぜか?
私が最もよく経験するのは、友人や同僚との日常会話の中です。
誰かが何か話し始めたとき、話の途中で「あ、それ私も!」と思った瞬間、
頭の中に自分のエピソードが浮かび、それを我慢できずに話し始めてしまうのです。
たとえば、人がこの前旅行に行ってと話し始めた瞬間に、私も行ったことがある!と割って入ってしまう。
話の腰を折ったことに気づいてから、しまったと思うこともありますが、
相手のテンションが下がっているのがわかるのです。
特に厄介なのは、それが自分では会話を盛り上げようという善意から出ていることもあるということ。
相手との共通点を示したり、共感を伝えたつもりだったのに、
相手からすると私の話を聞いてくれなかったと受け取られてしまうことがあるのです。
こうした出来事が繰り返されるうちに、またやってしまったと自己嫌悪に陥ることが増えました。
人と話すこと自体が億劫になることもあり、会話のたびに今度こそちゃんと聞こうと自分に言い聞かせるようになりました。
でも、どれだけ気をつけていても無意識に口を挟んでしまう。
これは単なる性格ではなく、脳の働きの偏りが関係していると知ったとき、
ようやく私はダメな人間なんだと思い詰めるのをやめられるようになったのです。
ADHDの私はなぜ話を遮ってしまうのかを考えた
自分でも、なぜ相手の話を最後まで聞けないのか、よく考えました。
もちろん失礼なことだとわかっていますし、ちゃんと聞こうと思っていても、気づけば自分の話をしている。
これにはADHDの特性が大きく関係していると知ったとき、少し気が楽になったのを覚えています。
ADHDの人は、頭に浮かんだことをすぐに言わないと忘れてしまうという特性があります。
つまり、相手の話を聞いている最中に「それ、私も!」と思うようなエピソードや感想が浮かぶと、
今のうちに言わなきゃと無意識に焦ってしまうのです。
さらに、相手の話に共感したいという気持ちも強い傾向にあります。
純粋にわかるよと伝えたいのですが、それが割り込みとして受け取られてしまう。
結果として、人の話を聞かない人というレッテルを貼られ、自分自身も傷つき、自己嫌悪に陥ってしまいます。
集中力の持続のしにくさも影響します。
話が長くなると、どこかで注意がそれてしまう。そしてその一瞬で、話の流れがつかめなくなり、今度は不安や焦りから、自分の話でつなごうとしてしまうのです。
これらはすべて「わざと」ではなく、脳の特性からくる無意識の行動です。
でも、だからこそ、それを理解し、どう向き合うかが大事だと思うようになりました。
ADHDと診断されてからどう対処しているか
このままでは人間関係がうまくいかない、と感じた私は、
自分なりにいくつかの工夫を取り入れるようになりました。
完璧にできているわけではありませんが、少しずつ改善の兆しが見えてきたと感じています。
まず最初に始めたのは、話の途中で思いついたことを一旦メモに書くということです。
スマホのメモアプリを開いたり、小さなメモ帳を持ち歩いたりして、浮かんだ話題をそこに書き留めるようにしました。
そうすることで、忘れずに済むという安心感が生まれ、話を遮らずに最後まで聞けるようになってきたのです。
次に取り組んだのが、聞き役として徹する意識づけです。
話している最中にあ、私も・・・と思っても、一呼吸おいて今は聞く時間と心の中で唱えるようにしました。
話の内容を要約して相手に返す、〇〇ってことだよね?と確認することで、自然と最後まで聞く姿勢が整ってくるようになりました。
また、周囲に実はこういう特性があると少しずつオープンに話すようにもしています。
打ち明けたことで、理解を示してくれる人も増え、気持ち的に楽になった部分もあります。
もちろん全員が受け入れてくれるわけではありませんが、少なくともわかろうとしてくれる人がいるのは、大きな支えになっています。
完璧じゃなくてもいい。
まずは話を遮ってしまいやすい自分に気づき、工夫すること。
その積み重ねが、少しずつですが信頼や人間関係の改善につながっているのを実感しています。
もしあなたがこうしたことで悩んでいるのであれば、
ぜひ一度こうしたことを試してみてはいかがでしょうか?
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。