診断・受診に関する体験

言われたことがなぜできないのかといつも怒られているあなたへ

仕事をしていて、言われたことがなぜできないのかと怒られた経験はありませんか?

私は日常的にとてもよくあります。そのたびに、「なぜこんな簡単なことも覚えていないのか?」という感情に打ちひしがれることが多いです。

 

まず最初に知っておいてほしいのは、

ADHDの人にとって「覚えておく」ということ自体がとても難しいことだという点です。

「そんなことない、ちゃんと覚えられる」と反論したくなる気持ちは理解できます。

ですが、脳の働きの仕組み上、これは苦手なことの一つとして多くの研究で指摘されています。

 

つまり、努力不足や怠けているからではなく、ADHDの特性として「記憶の保持」や「情報の整理整頓」が構造的にハードルが高いのです。

これは一時的な物忘れとは違い、計画を立てたり、人との約束を思い出したり、物事を順序立てて考えるといった場面でも影響します。

そのため、ADHDの人が自分を責めすぎず、必要に応じてメモやリマインダーなどの外部の助けを積極的に活用することがとても大切です。

今日は、この「覚えておくのが苦手」という特性について、少し詳しくお話ししていきたいと思います。

 

 

ADHDは覚えておくことが構造的に難しい理由について

ADHDを持つ人が、必ずしも「記憶障害」を抱えているわけではありません。

強い印象を残す出来事や、感情が大きく動かされた衝撃的な出来事については、他の人と同じようにしっかりと覚えていることができます。

むしろ人によっては、細かい場面まで鮮明に記憶している場合も少なくありません。

 

しかし一方で、日々の生活の中で発生するちょっとした用事や、誰かに頼まれたこと、毎日のルーティンのような当たり前のタスクについては、うっかり忘れてしまうことが非常に多いのが特徴です。

私自身も例えば今から「このあと〇〇をしなければいけない」ということを覚えておくようにしなければいけないと思っていても

別の頼まれごとやイベントが起こった場合、最初に覚えておかなければいけないと思っていたことが

すっぱりと消えてしまい、「あれ?何をしようとしていたっけ?」となることが多々あります。

 

この「覚えておくのが苦手」という状態の大きな要因として、

ADHDの人は「ワーキングメモリー(作業記憶)」が弱い傾向があると言われています。

ワーキングメモリーとは、頭の中で情報を一時的に保存しながら、同時に別の作業を進める力のことです。

たとえば、会話の途中で相手の言葉を頭に残しつつ、自分の返答を考えることや、買い物リストを覚えたまま店内を歩いて必要なものを探すといった、

日常の中で無意識に行っている小さな記憶作業を指します。

この能力が弱いために、ADHDの人は「ちょっとしたことをすぐ忘れる」「次に何をするか分からなくなる」という状況に陥りやすいのです。

 

さらに、ADHDには「注意欠如」という特徴もあります。周りの情報が気になりすぎてしまったり、

逆に必要な情報に意識を向け続けることが難しかったりするため、目の前の物事に集中しづらく、その結果として大事な情報を取りこぼしてしまうことが多々あります。

つまり、何も考えていないわけではなく、頭の中ではさまざまな情報が飛び交っているのに、本来覚えておくべきことを維持し続けられないのです。

 

だからこそ、ADHDの人にとっては「自分はこういう特性があるんだ」と正しく理解することがとても重要です。

自分を責めたり、無理に「もっと頑張れば忘れないはずだ」と追い詰めるのではなく、必要な情報を外に出しておく仕組みを作った方が、ずっと効率的でストレスも少なくなります。

 

 

ADHDの物忘れを解消するための方法とは?

だからと言って、仕事ができないというわけではありません。

ただ、物事を忘れやすいという自分の特性を正しく理解した上で、その対処法を工夫することがとても重要なのです。

忘れやすいのなら、覚えておこうとするだけでなく、忘れても大丈夫な仕組みを用意しておけば良いのです。

これを意識するだけでも、日常生活や仕事のミスは格段に減らせます。

 

よく使われる対策として、メモを活用する方法があります。

頭の中の記憶に頼るのではなく、必要な情報を外部に残すという考え方です。

具体的には、メモ帳やノート、スマートフォンのメモアプリ、PC上の付箋ツールなど、さまざまな方法がありますが、自分が最も取り出しやすく、確認しやすい形を選ぶのがポイントです。

 

私が特におすすめしたいのは、デスク周りでのポストイットの活用です。

PCのモニター横や目線のすぐ届くところに付箋を貼っておくことで、うっかり忘れてしまうリスクを大幅に減らせます。

仕事中でもすぐに確認できますし、終わったものから剥がしていけば達成感も味わえるので、モチベーション維持にも役立ちます。

 

また、私は手帳もよく使います。特に手書きで予定やタスクを書き込むと、頭の中にもしっかり残りやすい気がしています。

デジタルよりもアナログの方が、書く動作によって記憶に残りやすいと感じる方も多いのではないでしょうか。

手帳に予定を書き込み、朝や夜に見返す習慣をつけるだけでも、やるべきことを忘れる回数はぐっと減ります。

 

さらに、スマートフォンのリマインド機能も便利なツールの一つです。

ただ、私の場合、リマインダーをあまり多用しすぎると、通知が頻繁に届いてかえって混乱してしまうことがあります。

必要以上にタスクを詰め込むと、何が大事か分からなくなってしまうのです。

そこで、私が意識しているのは「どうしても忘れてはいけない重要なことだけをリマインダーに登録する」というルールです。

これにより、必要最低限の通知だけが届き、本当に大切な用事を忘れずに済みます。

 

このように、ADHDの特性を理解して、自分に合った外部ツールを上手に取り入れることで、「覚えておかないといけない」という無意識のプレッシャーから解放されます。

結果として、忘れ物やうっかりミスが減り、仕事や生活がスムーズに進むようになるのです。自分に合う方法を見つけて、ストレスなく日々を過ごしていきましょう。

この方法については人によって効果的な内容は変わりますので

自分自身が何がいいのかをぜひ探してみてくださいね。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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