ADHDを持つ自分は、集中力が散漫になりやすいという話を以前の記事でも書きました。
しかしながら、一度やる気スイッチが入ると、時間を忘れて作業や仕事に没頭することがよくあります。
自分でも驚くほどの集中力を発揮できる瞬間があり、まさに「過集中」と呼ばれる状態です。
私の上司は、こうした特性を「やる気の波が激しい」と表現してくださいました。
確かに、自分でもその波は激しいと感じていますが、やる気が高まったときの集中力や行動力は、自分にとって大きな武器だと感じています。
ADHDを持っていても、それがすべてマイナスに働くわけではありません。自分の特性を理解し、それを活かすことができれば、人に負けない強みになるのです。
今日はそんな前向きな側面について、お話したいと思います。
ADHDを持っていても他人より優れている集中力を発揮できる理由
ADHDには、注意欠如や多動性といった問題があると一般的に指摘されます。
近年では、こうした特性は脳内の神経伝達物質であるドーパミンの分泌の不均衡によって引き起こされるという解釈が広まりつつあります。
しかし、それと同時にADHDの特性として「過集中」という現象も見られます。これは、特定の興味や活動に対して極端に集中する状態で、周囲の音や時間の感覚を完全にシャットアウトし、その作業に没頭するというものです。
脳が報酬を感じたときにドーパミンが過剰に分泌されることで、強烈な興味と集中状態が生まれるのです。
私自身も、興味のある作業に取り掛かれたときには、時間を忘れて何時間も仕事に没頭することがあります。
うまく歯車がかみ合えば、自分でも驚くほどの集中力と成果を発揮できるという自負があります。
しかし、その集中力を意図的に引き出したり、持続させたりすることは非常に難しく、「できるとき」と「できないとき」の差が大きいのもADHDの特性のひとつです。
歴史上の人物の中にも、ADHDの特性を持っていたとされる偉人は多く、レオナルド・ダ・ヴィンチやトーマス・エジソンなどがその代表例です。
現代でも、ジム・キャリーやウィル・スミスといった著名な俳優たちが自身のADHDを公表しており、特定の分野への強い関心と圧倒的な集中力が彼らの創造性の源であることがうかがえます。
ADHDの特性は、必ずしもマイナスではなく、状況によっては大きな武器にもなり得るのです。
ただし、やる気が出て過集中モードに入るまでは、かなりの労力が必要です。そのため私は、作業のあとに「ご褒美」を設定するという手法を使ってモチベーションを維持しています。
たとえば、仕事が終わったら好きなスイーツを食べる、ゲームを30分だけ楽しむといった形で、自分にとって小さな報酬を用意するのです。このように、自分の脳が報酬を求めて動く特性を理解し、上手に活用することが、モチベーション維持と集中力の引き出しにつながっていると感じています。
ADHDを抱える私が他人より優れた集中力を発揮するために大切にしていること
ADHDの脳は、報酬にとても敏感です。
やらなければいけないタスクでも、報酬が見えていないと動き出すのが難しいと私は感じています。
そこで私は、前述したように作業後の「ご褒美」を明確に決めています。
たとえば、
「このタスクを終えたら好きなスイーツを食べよう」
「午後はカフェで作業して、終わったらゲームを30分だけやろう」
といった具合です。
このような外的モチベーションを使うことで、今ここで頑張れば楽しいことが待っていると脳に信号を送り、集中力を引き出すようにしています。
その集中力を高めるためにはまず環境を整える必要があります。
集中したいのに、周囲の物音やスマホの通知に気を取られてしまう経験はありませんか?
そこで、作業環境を「集中モード」に整えることも意識しています。
例えば
- ノイズキャンセリングイヤホンで環境音を遮断
- 作業BGM(Lo-fiや自然音)でリズムを作る
- スマホは視界から外し、通知もオフ
- タイマーを使って25分間集中→5分休憩のポモドーロ法を活用
これらの工夫によって、脳を「今は集中する時間だ」と認識させやすくなります。
ADHDの特性は、社会の中では「困りごと」として扱われがちです。
たしかに、集中力の波や不注意、多動傾向など、日常生活での難しさは少なくありません。
しかし、自分自身の特性を理解し、波にうまく乗る方法を身につけることで、むしろ人よりも高い集中力や創造性を発揮できる瞬間があります。
私自身、ADHDを持っているからこそ見える景色や感じ方、そして深い集中の感覚があると実感しています。
それは決して劣ったものではなく、扱い方次第では圧倒的な武器になり得るのです。
同じように悩みを抱えている方にも、「特性を否定するのではなく、理解し、自分なりの方法を見つけてほしい」と伝えたいです。
ADHDはマイナスな面ばかりではありません。強みに変えられる可能性を持った気質なのです。
私たちは、人よりも強い興味関心を持つ力があります。
だからこそ、自分が夢中になれるものに没頭し、追求していくことで、他の誰にも真似できない成果を出せるかもしれません。
もしかすると、あなたの名前が未来に語り継がれる存在になる可能性だってあるのです。
ADHDだからといって悲観せず、自分の特性をよく理解し、「何が自分に合うか」を見つけて、より良い未来を切り拓いていきましょう。
そのうえで大切なのは、「完璧を目指さないこと」です。
ADHDの特性を持っていると、最初からうまくいかないことも多く、自己否定に陥りやすい傾向があります。
しかし、うまくできなかった日があっても、翌日にまた挑戦すればいい。
日々、自分の特性と対話しながら、少しずつ工夫していけばいいのです。
そして、自分なりのやり方が見えてきたとき、確かな手応えとともに「これが自分に合っている」という安心感が生まれます。
その積み重ねこそが、集中力を持続させ、自己肯定感を高めてくれるのだと私は感じています。
他人と比べるのではなく、昨日の自分より少しでも前進できたかどうか。
それこそが、ADHDを持つ私たちが自分らしく生きていくための、何より大切な視点だと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。